君が代で着席、教職員側が敗訴 福岡高裁判決

[http://www.asahi.com/national/update/1216/SEB200812150007.html:title=2008年12月16日0時42分
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 北九州市立の小、中、養護学校の入学式や卒業式での君が代斉唱をめぐり、着席して歌わなかった教職員17人と教職員組合が、職務命令に従わなかったとして、市教委から受けた処分の取り消しや損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が15日、福岡高裁であった。丸山昌一裁判長は校長の職務命令については合憲と判断。減給処分4件の処分を取り消した一審・福岡地裁判決の原告勝訴部分を取り消し、処分は適法だったとした。教職員側は近く上告する。
 丸山裁判長は君が代斉唱などを指示した校長の職務命令について、「君が代が教職員の歴史観や世界観を直ちに否定するものと認められない」として一審と同様、憲法19条(思想良心の自由)、同20条(信教の自由)に違反しないとの判断を示した。
 一方、教職員らの不起立行為について「儀式的行事の雰囲気を乱し、保護者らに不安を抱かせた」などと述べ、地方公務員法で禁じられた信用失墜行為にあたると指摘。北九州市教委による減給処分は「同種の職務命令違反を繰り返しており、裁量権の逸脱とは言えない」と結論付けた。
 判決によると、教職員らは89〜99年の入学式などで、校長から「起立して斉唱」と職務命令を受けたが、「特殊な歴史的背景を持つ君が代は歌えない」と着席したまま歌わなかった。
 この日、判決後に福岡市内で会見した原告の一人の竹森真紀さんは「市教委側のとるに足らない主張をなぞった不当判決だ」と憤った。北九州市教委学務部服務争訟担当の上村一臣課長は「主張が認められた妥当な判決」との談話を出した。
 君が代をめぐっては、伴奏や斉唱、起立の拒否などに伴う処分などについて多くの訴えが起こされているが、下級審での判断は分かれている。最高裁は昨年2月、音楽教諭に君が代のピアノ伴奏を命じた校長の職務命令は合憲との初判断を示している。